Works
仕事を知る

Project Story プロジェクトストーリー

Project Member

D.Rさん
2018 年入社

共創プロジェクト推進部に異動する前は、産業用の線材を営業。プロジェクトのスタート時から関わり、主にドローンの機体の設計・開発から性能評価、事業化を担当。

K.Yさん
2019 年入社

入社後に担当していた業務は海外向けの産業用機械や放送機材に使われるケーブルの営業。大変そうにしながらも生き生きと仕事をしている共創プロジェクト推進部の雰囲気にワクワク感と憧れを持ってチームへの参加を希望し、ドローンプロジェクトの営業を担う。

R.Kさん
2020 年入社

本来、新規事業は業務経験を積んだ人が担当するが、新卒採用の面接で新規事業に携わりたいと希望を出した結果、共創プロジェクト推進部の配属となり、ドローンプロジェクトの営業を任される。テストやデモで一気にお客様の心をつかむ勢いからブルドーザー営業の異名を持つ。

山間部の鉄塔メンテナンスに
ドローンのニーズを見出す

プロジェクトメンバーの3人が重量物運搬ドローンの事業化に取り組んだのは、偶然や思いつきの結果ではない。古河グループのルーツともいうべき送電線を全国各地の電力会社に納品していたことがきっかけだ。電力会社が山間部の送電鉄塔をメンテナンスする際に、車両が通行できないため作業員が何十キロもの資材を担いで運搬していた。このままでは人手不足や高齢化によりメンテナンスが滞る恐れがある。当社のお客様である電力会社の課題を解決する最適解が、重量物運搬ドローンの開発だった。
ドローンの事業化は、共創プロジェクト推進部の現部長が就任する前に発案したものです。当時はまだ珍しかったドローンを点検作業に使うというアイデアでした。
最初は点検作業用にドローンを活用する予定でしたが、それだと市販の機体でも十分にこなせてしまうので、事業化するメリットがない。送電鉄塔のメンテナンスに使う部材は今でも一部を人が担いで山間部へ運んでいます。「これをドローンで運べたら便利なのに」という現場の声から重量物の運搬を目的としたドローンの開発に方向転換しました。電力会社の作業員の省力化・省人化に貢献できます。
機体の開発に苦労していたところにRさんが来て、普通は2年から3年かかるテストやデモを1年でやってくれた。その馬力は、まさしくブルドーザー。お客様へのデモに機体の開発が間に合わなくて、よく衝突していたのも良い思い出になっています。
私がチームに加わったときは事業化の後でした。何もないゼロからプロジェクトを形にしたのは2人を含めた部員の功績で、私がスムーズにチームに参加できたのもそのおかげです。
自分はどんどん前に進みたいタイプなので、Kさんがマニュアルを作ったり、ビジネスのスキームを標準化したりしてくれたのはとても助かりました。
今はKさんもRさんも新規営業に専心していて、Rさんは1年の半分くらい地方に出張している。新規営業をしていく上で、考えてから行動するよりもKさん、Rさんのように考えながら走ることがとても大事だと思いました。

苦い失敗の繰り返しが信頼と自信に繋がった

重量物運搬ドローンの記念すべき初受注は2022年の11月。そこから全国の電力会社へ営業活動を行い、1,000フライトを超える業務を受注して無事故記録を更新している (2024年1月現在) 。着実に実績を重ねているプロジェクトの未来は順風満帆に見えるが、事業化にはいくつもの高い壁が行く手を阻み、それを乗り越えるために3人のメンバーが苦闘した日々があった。しかし、何度も失敗して遠回りしたことが今の成果に繋がっていると3人は語る。
ドローンという技術の塊を機体から開発するのに、プロジェクトメンバーの3人はみんな文系の出身者。そこのハードルをクリアしたDさんは本当にすごいと思います。
もう少し詳しければ良かったと思います。知識が足りないから、最初の頃は機体開発を依頼するパートナー会社との意思疎通にも苦労しました。
機体開発のパートナーも3社目にしてようやく定着しましたね。
データを取るために、自分たちでアルミの機体にモーターを付けて飛ばしたりしました。
どんなに計算して準備しても、実際に飛ばさないとわからないことがたくさんあったそうですね。荷物を固定する方法とか。
そう、最初は荷物を機体に固定して運んでいたけれど、荷物の形や飛行中の揺れで重心の位置が変わるとコントロールが利かなくなって墜落してしまう。荷物を吊ってみたら、揺れても機体の姿勢を制御できる。機体に荷物を固定したほうが安定すると考えてしまうけれど、それは間違い。墜落から多くを学びました。
でも、西日本に行ってデモ飛行した時に、お客様の目の前で墜落したのは辛い経験だった。
あの日は10時間かけてハイエースで機体を運んで、午前中は順調だったんです。午後になってお客様のリクエストに応じたら墜落してしまい、茫然として言葉を失いました。でもお客様から「一度も墜落したことのない機体は使いたくない。原因を究明して改良した機体のほうが安心できるから」と励まされたのはうれしかったです。帰りがけにも「あきらめるな古河」と言ってくださって、部長と車の中で「あの言葉を忘れちゃだめだね」と話しながら帰りました。
数々の挫折を経て出会った3社目のパートナーは、私たちの想いに共感して重量物運搬ドローンのトップになることが共通の目標になったので、機体の開発が一気に進みました。新規事業の開発が一般的な商社の仕事と大きく違うのは、ドローンが墜落したら今までの努力が一瞬でゼロになってしまうことです。その責任の重さは常に感じていますね。
DさんとRさんが苦労して事業化の道筋を切り拓いてくれたから、私は営業としてお客様にその価値を伝えることができている。2人がゼロを1にしてくれた。その1を10に、そして100にしていくのが私の役割だと思っています。

山間部のドローン運搬でブランドを確立したい

電力業界には古河グループのブランドが浸透している上に、電線などの部材を納品している実績と信頼があることが営業の追い風になったと語るメンバーたち。その一方で期待に応えられなければ、ブランドの価値を損なうプレッシャーも感じていたらしい。今、新規事業としての一歩を踏み出した重量物運搬ドローンのプロジェクトに携わることで、自身がどのように変わったのか。そして今後の抱負について話してもらった。
プロジェクトを進める中で、「重量物運搬ドローンという新しい市場をトップランナーとして牽引していくには、投資をしてリスクを取って判断しなければ勝ち残れない」という意識が強い責任感を持たせてくれたと思います。国内で唯一のサービスとして定着し、運搬方法の新たな常識を作り出せたらうれしいですね。
私は異動してプロジェクトに関わるまで、お客様と仕入れ先のメーカーの間で潤滑油的な役割を果たしていました。でも、ドローンプロジェクトでは自分たちがメーカーとしてお客様と向き合い、責任を負うことになります。従来の商社の仕事とは異なるメンタリティが必要になりますが、異動する前の経験はドローンプロジェクトの営業にも大いに役立っています。商社の業務を経験した上で、新規事業の立ち上げに関われたのはとても良かったと思います。
入社後すぐにこのプロジェクトの担当になったので、仕事は与えられるのではなく、自分で作るという当事者意識が強くなったかもしれません。ドローンのプロジェクトが成功すれば、新規事業の開発にドライブがかかって会社の成長に貢献できるという気持ちで取り組んでいました。同期からも「期待している」と励まされたのはうれしかったですね。
機体を開発しているパートナー会社と日本ドローン搬送協会という団体を立ち上げました。そこからドローンによる重量物運搬という新しい価値を社会に広めていく。山間部に重いものを運ぶなら古河産業というイメージを浸透させたい。最近は市街地や災害時に利用したいという相談が多くなったので、将来事業に広がりを持たせられるように常に技術革新をしていきたいと思います。
そういう判断も含めて新しい事業に挑戦できる環境があることは、とても良いことだと思います。これから入社してくる新人たちの目標となる部署になれたらうれしい。
そうですね。私のようにすぐに新規事業に関わるチャンスに恵まれるかもしれません。でも、商社の業務経験ももちろんあったほうがいいと思います。
Rさんのように新卒で配属されるのは稀なケースだけれど、共創プロジェクト推進部のメンバーは入社5年目くらいまでの若手社員ばかり。社歴や経験に関係なくプロジェクトを任されて、推進できるのは当社の魅力だと思います。私たち3人の目標は、重量物運搬ドローンのトップランナーとして当社のブランドイメージを定着させることです。
今まで49キロだった最大積載量ですが、昨日77キロを運べる機体(Eagle77)が完成しました。ドローンの世界は競争が激しいので、追い抜かれないように先頭を走り続けます。